災害時の連絡手段は無線や電話、LINEグループよりオープンチャット!?鹿児島市の担当者にきく

2020年1月11日に開催された『桜島火山爆発総合防災訓練』。 もうひとつの記事では、防災訓練でオープンチャットを活用した背景と見えてきた有用性、そして課題について詳しくご紹介しましたが、この記事では、オープンチャットで現場に指示を出していた西田さん、竹ノ下さんにインタビュー。

2021.11.30

「これまで連絡手段として使っていた無線や電話、LINEグループより、オープンチャットの方が今後活用できそう」と仰っていたので、なぜそう思ったのか、リアルなところを伺いました。

今回の防災訓練×オープンチャットの全体像

インタビュー6

▲フェリーから見た桜島の様子

今回の桜島火山爆発総合防災訓練では、全部で3つのオープンチャットが作成されました。

それぞれメンバーも活用方法も異なりますが、どれも関係各所との「情報共有」の場として有効か、検証したものです。

今回インタビューでお話を伺ったのは、そのうちの2つのオープンチャットを管理していた、鹿児島市 危機管理専門官の西田さん桜島総務市民課 主幹の竹ノ下さん

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▲お二人が作成されたオープンチャットの関係図

西田さんが管理されていたオープンチャットは、今回の訓練に参加された、現場で救助活動に参加するすべての関係者(鹿児島市の職員や鹿児島県警、消防など)が情報共有を行うことを目的とした場所です。

一方、竹ノ下さんが管理されていたオープンチャットは、鹿児島市桜島の職員同士が情報交換を行うことを目的として作られました。

 

ここから先は、「オープンチャットを活用した変化」「良かった点・改善点」「今後の活用」についてインタビューした内容をお届けします。

Q. これまでの連絡手段と比べて、オープンチャットを活用することでどのような変化があったのか、教えてください。

インタビュー10

▲鹿児島市危機管理課 危機管理専門官 西田さん

西田さん:
これまで自治体や防災関係期間との情報共有は、電話やメールが主流で、その場合1対1のやり取りとなります。それに比べると、オープンチャットであれば一斉に情報共有ができるところが便利ですね。

同じトークルームにいるメンバー同士が発信し合えるのですが、制限をしないと、情報が過多となりますので発信のルール作りが必要だと思いました。時間勝負の中、迅速に情報共有できることが何より重要です。

また、文章だけでなく、写真を共有できることも良いですよね。オープンチャットは後からやり取りを見返せますが、電話だと、後から事実確認することは難しいので。

インタビュー9

▲鹿児島市役所 桜島総務市民課 主幹 竹ノ下さん

竹ノ下さん:
電話に加えて無線を使うこともありましたが、相手が忙しくて無線を取れず、話が流れる……ということが発生していました。

そこで、昨年はLINEグループを使う試みをしていました。文字や画像、動画でやり取りをして、その情報が残るという有用性はそのときにも確認しており、便利だなと思っていましたね。

また、動画だと、事実関係や詳細な状況も伝わり、安心します。

Q. オープンチャットならではの良かったことは何かありましたか?

インタビュー2

▲実際に使用したスマートフォンとオープンチャット画面

西田さん:
フェイクニュースやなりすましを防ぐにも、セキュリティ性が高いツールであることが重要だと言えます。

オープンチャットには管理者機能がありますね。管理者が承認した人しかグループに入れないように設定可能です。信頼している方々だけを集めた状態を保つことができます。

LINEは登録者が多く、普段SNSを利用されない方々もLINEなら使っているという場合も多いので、オープンチャットはLINEと同じ使い方のため、スムーズに活用できたのではないでしょうか。

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▲現地災害対策本部の様子

竹ノ下さん:
オープンチャットだと、LINEの名前とは別にプロフィールを自由に設定できるところがいいですね。肩書きや所属をニックネームに入力するルールにすれば、『この人は誰だ?』と迷うことなくメンション機能(@をつけて名前を呼びかける機能)での呼びかけられるため、より便利だなと思いました。

呼びかけることで、返事がタイムラグなく返ってくる。スピード感のあるやり取りが叶いました。

オープンチャット全体の通知をオフにできるのも良いですね。通知をオンにしていた場合、ずっとやり取りをしていると通知音が鳴り続けると思うのですが、そうするとみんな『誰かが見てるだろうな』と思って確認しなくなる。最初から通知音が鳴らないよう設定すれば、各自意識して内容を確認するようになります。

Q. 緊急時、オープンチャットは「使える」?

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▲消防による要支援者の搬送

西田さん:
有事のときに使えると思います。ただ、今回作ったオープンチャットは、個人ごとに登録をしていますので、定期異動ごとの更新が必要になると思います。

鹿児島市では、災害時、LINE公式アカウントの使用とオープンチャットを活用することができれば、有効だと考えています。

例えば、LINE公式アカウントでは一般市民向けに情報発信を、オープンチャットでは関係者向けに情報を発信するなど、使いわけを考えています。

インタビュー7

▲防災訓練に参加した方々

竹ノ下さん:
オープンチャットは、日常的に使う機能というよりも、今回のようなイベント時に使えるなと思いました。プロフィールを変えられる部分などで比較すると、LINEグループよりも使いやすいですね。

名前に肩書きや所属が入っていれば、新しい人が入って来ても、誰が何を発信しているのか一目でわかるので、戸惑わずに済むと思います。

まとめ

今までの連絡手段と比較して、オープンチャットを活用してよかったポイントが大きく2つありました。

信頼できる人だけが集まって情報共有が可能な仕組み(管理者機能)があること。フェイクニュースやなりすましを防げるため、セキュリティ面が安心

プロフィールを独自に設定できること。LINEに登録している名前とは別に、所属や肩書きを入力できるため、誰がどの発言をしているのか迷わずに済む。知っている名前が並ぶため、メンション機能で呼びかけがしやすい。

その他、活用していてよかったポイントとして、以下の内容が挙げられました。

・一斉に情報共有ができること
・文字だけでなく写真や動画も共有できること(特に動画は詳細な状況が伝わるので良いということ)
・やり取りした情報を後から振り返ることができること
・通知音をオフにできるので、各自意識して内容を確認できたこと
・オープンチャットはLINEと同じ使い方でわかりやすいこと

これまでの連絡手段である無線や電話、LINEグループなどと比較すると、オープンチャット活用に有効性があることがわかりました。

今回の『桜島火山爆発総合防災訓練』については、もうひとつの記事で、災害など緊急時のオープンチャットの有用性と課題についてご紹介しています。自治体でのオープンチャット活用をお考えのかたは、ぜひこちらの記事もご覧ください。

今後も自治体によるオープンチャットの利用につきまして、積極的に活動支援を行なっていきたいと考えています。ご利用をお考えの方がいらっしゃいましたら、下記の「LINE OpenChat自治体支援窓口」宛にご連絡ください。

<お問い合わせ窓口>
LINE OpenChat自治体支援窓口
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